ネギ式

適当に生きるおっさんのブログ

読書感想:突変

森岡浩之の災害小説。震災の影響が見られる作品である。ポスト311小説と言えるのかもしれない。
それはともかく、小説として面白い。ポスト311らしいテーマもしっかりしている。なんというか、ジャンル小説の基本をきちんと掴んで書いている作家だと思う。星界シリーズもこれも。ジャンルはぜんぜん違うけれど。
前半はかなりリアルに書かれていて、リアルな災害小説っぽい。後半は娯楽性を持たせるためか女子高生スナイパーとか登場するけれど、最後のシーンでそのスナイパーが文句をいいながら仕事をするところがいい。悪役に近い陰謀論の市会議員も、最後には意外な(意外でないかも)面を見せる(暗示される)。
女性が活躍する話でもある。前半に活躍するのは前島葵、後半では大蔵司玲子。女子高生の出灰鈴蘭は、狙撃シーン以外は花を添える程度だが、テーマ的には真上美咲が重要な役割を果たしている。
ミリオタというか銃器マニアっぽい感じはするけれど、リアリティのためだろう。リアリティを求める作家がみんな銃器マニアになってしまうというこの世界よ。