ネギ式

適当に生きるおっさんのブログ

読書感想:NETFLIXコンテンツ帝国の野望

図書館で借りた本。

面白かった。この本の出版は2012年なのである。つまり、この本で描かれているNETFLIXは主にDVDの宅配(郵便)レンタル業者である。ネットで注文して郵便でDVDが届き、見終わったら郵便で返送するという仕組みのレンタル業が主体。最後の方でストリーミング配信もちょっと出てくるけど。

NETFLIXの創業者もすごいけど、この本の著者の取材も早い。出版はフォーチュン誌の「今年のビジネスパーソン」にヘイスティングスが選ばれた後ではあるが、取材はそれよりずっと早い。

NETFLIX立ち上げ時の話も面白いが、この本で断然面白いのはライバルであるDVD・ビデオレンタル業のブロックバスター社との競争である。この本の中で悪役を演じる投資家のカール・アイカーンとブロックバスターのジョン・アンティオコの対立も含めて、企業ものとして実に読み甲斐がある。

古い形態とこの本の中でも何度も指摘されていながらも、店舗型のレンタルショップのブロックバスターが実にしぶとく強い。店舗とオンラインを組み合わせたトータルアクセスNETFLIXを追い込む。

結局はブロックバスターの自滅のような形でNETFLIXが勝利するのだが、その時点で新たなライバルは自販機式のDVDレンタルレッドボックスであり、なかなかストリーミング一直線とはならない。

ストリーミングについてはあまり書かれていないのがやや不満だが、宅配DVDの時代からレコメンドシステムのアルゴリズムプログラミングコンテストをしたり、インディーズ系の映画を重視したりと現在に続く動きはあったようだ。

 

なお、訳者あとがきで「中年サラリーマンに起業の夢を与える」とか書かれているが、これはない。確かに学生の起業ではないが、二人とも裕福な家庭に生まれ、企業の経営や立て直しに実績のあるリード・ヘイスティングスマーク・ランドルフは、訳者の言う中年サラリーマンのイメージとは大違いだ。