ネギ式

適当に生きるおっさんのブログ

雑記:匂いの記憶または謄写版印刷

俺は記憶ネタでやりたいんだけど、懐かしネタの方がウケがいいみたいなので。いや、書くことは大して変わらない。

 

ガリ版

小学校のときは新聞部に入っていた。これの記憶もいい加減だけど、小学校高学年から始まる必修クラブだったような気もするし、委員会活動だったような気もする。だから新聞部という名称もあやふやで新聞クラブだったかも知れないし、新聞委員会だったかも知れない。

今でもそうだが、小学校ときも私は字が下手でコンプレックスを感じていた。それなのに新聞部に入ったのは、やはり新聞を作るということに興味があったからである。電話ボックスで着替えたりしたい年頃であった。

ワープロもパソコンもコピー機もない時代である。構内新聞は謄写版で作った。ガリ版というやつである。これはロウ原紙鉄筆で書く。知らない人向けに説明するの面倒くさいな。ロウ原紙というのは薄い紙にロウソクの蝋(のようなもの)が引かれた紙である。油紙(これも知らないかも)の油が蝋になったようなもの。この蝋を鉄筆で削って字を書くのである。

下書きを書き写した記憶がないので、ロウ原紙に一発書きだったと思うが、俺の記憶なので当てにならない。で、字が下手な俺だが、このロウ原紙に書くのはそれ程苦手ではなかった。謄写版用の字体というのがあって、ちゃんと習った訳ではなく、ただ枠いっぱいに書くと教わっただけなのだが、それだけのコツで俺の字が特徴ある下手な字から、いかにも謄写版の字っぽく変わったのである。

鉛筆で書くときは考える速度に書く速度が追いつかずに大急ぎで書いているが、ロウ原紙に鉄筆というのは急いで書くとロウ原紙が破れてしまうので速度をあげられないのである。ゆっくり字をかくために多少ましな字になったのかも知れない。

ゆっくり書いても、やはり俺なので失敗する。その時はロウ原紙用の修正液を使う。これがピンク色の液体でひどい匂いがした。ような気がするがどんな匂いなのか全然覚えていない。でもあまりひどい匂いだったので、「うわー、臭い」とか言って女の子の鼻に修正液を着けたら、ずっと取れなかったらしく、すごく怒られた。

関係ないけど、いまググったら、鉄筆でロウを削るというよりも、ロウ原紙の下敷きのヤスリでロウが削れるらしい。そうだ、下に鉄板(ヤスリ)を敷いて書いていたのだった。

そして原紙に書いたら、それを枠にセットして、インクを着けたローラーでこすると、ロウが削られた部分だけインクが透過して印刷ができるのである。この紙をセットして枠を持ち上げてはローラーで擦り、また紙をセットしてローラーで擦りという作業も楽しかった。どんどん印刷できるんだもん。

話はそれるが、このときの紙はわら半紙であった。確かに紙の中に異物(藁?)が混ざっていた。記憶の捏造かも知れないけど。謄写版印刷に使うのはいいのだが、テスト用紙にわら半紙が使われた事があって、答えを鉛筆で書くと藁のところで引っかかってうまく書けなかったことがある。それで先生に文句を言った記憶がある。テスト用紙はわら半紙ではなく更紙にしてくれと。

 

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放電式製版機

このガリ版に大進歩があったのが、放電式製版機である。いや、以前からあったけど導入されていなかっただけかも知れない。中学校か高校の時にはたぶん学校に導入されたのだと思う。

これの原稿は鉛筆で書いてよいのである。というか、鉛筆でないとならない(炭素の導電性を利用しているのだと思う)。実に素晴らしい。修正し放題である。でも、これを使う機会はそんなになかったような気がする。あ、思い出した。中学1年のときにクラスで文集を作って、その時の印刷がこの放電式製版機だったのではないだろうか。これは放電して原紙を焼いているので、製版時に何かの焼ける匂いがするのである。そして、この製版は針で原紙をスキャンしていくのでやや時間がかかる。この匂いは覚えている。アレですよ、アレ、つまり放電式製版機で製版するときの匂いですよ。覚えていても表現できないのである。

この鉛筆書きの原稿を放電式製版機で製版して、謄写版で印刷した印刷物はいい感じの丸っこい味のある字体になる。字体というかなんというか、鉛筆の感じというか、放電で焼くということの精度のせいか、特徴的なぼやけ方をするのである。そうそう、細かい字は潰れることがあった。

一回目に行った大学の卒論発表会の資料がこの放電式製版機での作成で、俺はほとんど関係していなかったのだが、全員分の製版に1日とか2日とかすごく時間がかかるので締め切り厳守という話だった。印刷はぐるんぐるん回る輪転機なのでそこそこ速い。この時にはすでにコピー機というものが世の中にあって、放電式製版機の原稿は鉛筆書きの他にコピーしたものでも大丈夫であった(コピーは鉄粉なので導電性があるからだろう)。なお、俺の記憶ではこの時代のコピーは1枚30円くらいした。モノクロでだよ。

リソグラフ

いきなり商品名だが、塾の講師(っていう程でもない)をやっていた時に、その塾にリソグラフが設置されていた。塾と言っても進学塾ではなくて、補習塾みたいなところだった。子どもたちが宿題をやりに来るところみたいな。で、俺はだらだらと質問に答えたりしていて、プリントを作ったりとかは全然していなかったのだが、その頃、小説の創作講座に通っていて、受講生があまりにも作品を書かないので(いや書く人はバンバン書いていたのだが)自分も小説を書く動機にしようと思って、受講生間の内覧誌みたいなものを作ったのである。その印刷に塾のリソグラフを借りたのだ。

リソグラフはまさにガリ版の進歩したものであり、コピー機とほぼ同じ操作で謄写版印刷が出来るのである。(注:Wikipediaによると、違うものらしい。スクリーンと一体となっている点で、プリントゴッコの進んだものと見るべきとのこと)。放電式製版ではないので嫌な匂いもしないし、製版も早い。ただし、製版しているので、原紙をセットしたり捨てたりする必要がある。でもこれは何十枚かまとめて人繋がりになっているものなので、セットも捨てるのも大した手間ではない。ただし、下手なやり方をすると手が汚れる

塾の講師をやめてまたプログラマに戻ったりいろいろあったりして、また教育関係に就職したら、そこにもやはりリソグラフがあって懐かしく思ったりした。