オリジナルアニメらしい。タイトルやサムネイルからはレースもののように見えるが、実際には写真家の眞賀孝哉の心の悩みが中心だったように思える。
で、その元ネタで作中でも言及されているのが、エディ・アダムズの「サイゴンでの処刑」である。しかし、俺の見方によると、眞賀孝哉が偶然撮った写真と、「サイゴンでの処刑」は全然違う。戦場カメラマンはピュリッツァー賞を取るために生まれてきて、ピュリッツァー賞を取るために飯を食って、ピュリッツァー賞を取るために糞をして、ピュリッツァー賞を取るために戦場に行く。そして自身の政治的目的のために、できるだけセンセーショナルな写真を狙って撮るのだ。
現在報道されているロシア兵の残虐行為や、ハマスの残虐行為、あるいはイスラエル兵の残虐行為などの写真も、すべて写真家によって意図的に撮影されている。
油まみれの水鳥とか、ストローが鼻に刺さったウミガメとかもね。やらせでなくても、そこには撮影者の強烈な意志がある。
これらは称賛も批判も浴びて当然の撮影行為だ。
しかし、このアニメでは写真を撮って公開したことに対するネットなどの批判が、不当なもののように描かれていると思う。もちろん、ネットには不当な批判が溢れているが、「サイゴンでの処刑」に対する批判は不当なものとは言えないだろう。
その辺が、このアニメの納得できないところである。
一方のF4レースの方だが、リアリティを追求した結果、弱小チームは勝てないという事実に直面してしまった。そこはリアルなんだけどね。金持ちチームのオーナーが結構いいやつなのはよい。金持ちくさいけど。最後は勝たないとエンタメにならないので、勝つことは勝つ。
写真家の話は、俺としては、ない方がよかった。震災テーマとしてもいろいろ半端だし。
animestore.docomo.ne.jpレースクイーンの娘(蜜澤亜梨子)が、鈍感なところがよい。