ネギ式

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創作:異世物語 44. 出でてこしあとだに

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昔、男たちにモテモテのモテ女だとよく分かっていたのだけれど、そのモテ女と仲良くなって共寝した男がいた。モテ女なので他の男とも仲良くするので、嫉ましい気持もあるけれど、女が憎いということはないのでした。たびたび女のもとに通ったけれど、やはりモテるので他の男も通っている様子があって、それが気になったけれど、それでもやはり女のもとに通わないではいられないのであった。通わないではいられない気持はあったけれど、どうしても用事があって二、三日通えないことになった。

それで次のような歌を詠んだ。

出でてこしあとだにいまだ變わらじをたが通い路と今はなるらん

私があなたの家に通った足跡さえもまだ変わらずに残っているでしょうに、その路が誰かの通い路となっているでしょうか。

なんとなく、誰かが女のもとに通っているような疑いを持ったのでこの歌を詠んだのであった。だからと言って、この歌をモテ女に贈ったりしたら、「私を束縛しないで」みたいなことを言われて振られてしまうと思って、ただ自分の気持を歌で発散させただけで終ったのである。