ネギ式

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創作:異世物語 43. 紫の色こき時は

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昔、姉と妹の二人の姉妹がいた。つまり、三人でも四人でもなく二人の姉妹ということである。一人は身分も低く貧しい男と結婚し、もう一人は高貴な男と結婚していた。

十二月の末に、身分の低い男と結婚した方の女が、男の上の衣を洗って自分で洗い張りした。自分でやろうという気持はあったけれど、高貴な育ちだったので洗い張りの仕方を習ったこともなく、衣の肩のところを破いてしまった。どうしようもなくてただ泣いているばかりだった。

これを姉の結婚相手の高貴な男が聞いて、たいへん気の毒に思って、清らかな緑色の上の衣を見つけて贈った。その贈り物に付けた歌。

紫の色こき時はめもはるに野なる草木ぞわかれざりける

紫草から作った染料で染めた色の鮮やかに濃い時は目を見張るようですが、野に生えている時は他の草木と区別が付かないものです。あなたの夫と私では身分が違うように思えるかも知れませんが、同じ姉妹の夫どうしですから助け合おうではありませんか。

これは、次の武蔵野の歌をふまえたものでしょう。

紫のひともとゆゑに武蔵野の草はみながらあはれとぞみる

紫草が一本あるというだけで、武蔵野の草はみんな趣があるように見える。

この高貴な男というのは、例のおたく男のことであり、おたく男は、当然ながらアニメの例の姉妹のことを思い出していたのである。武蔵野は埼玉県だし、紫で姉妹だったら、思い出して当然である。