P.A.WORKSの2023年の劇場版お仕事アニメ。
俺はSHIROBAKOのファンだけど、特にP.A.WORKSのファンという訳ではない。でも「花咲くいろは」は見た。
どうもお仕事アニメというのが、後継者問題になっているのがあまり俺の気に入らない。その点SHIROBAKOは後継者問題を扱っていないのでよい。(劇場版では交代があるけど、血族後継じゃない)
この「駒田蒸留所へようこそ」も中小企業の駒田蒸留所の後継者問題が絡んでいる。地震で施設が破損して原酒も大幅に失い、社長も過労で死亡。そこから社長の娘の駒田琉生が跡を継いで蒸留所を再建するという話。
ネットニュースの記者の高橋光太郎がその内容を記事にしていくのだが、この記者に仕事を割り当てる編集長がいきなり前日に仕事を振っておいて、取材したら事前の下調べが足りないとか言うのが実に理不尽である。
駒田蒸留所では独楽というウィスキーをかつては製造していたが、そのブレンドは社長がやっていて、原酒もないし現在は作れない。からの復活という話であるのだが、クラウドファンディングで2千万調達出来たとしても、それでは全然足りずに他に数千万借りているらしい。しかし、この条件では銀行は金を貸さないと思うんだよね。ブレンドしていた社長が亡くなっているのでは復活は無理というのが金を貸す側の判断だと思う。たぶん、駒田家は広い土地を持っている地主で、土地を担保に金を借りたのではないだろうか。
俺がこの後継問題で気に入らないのは、従業員がほとんど役に立たずに、単に守られるべき存在みたいになっているところである。この話でもブレンドしていたのが亡くなった社長ではなく、ベテラン従業員だったらもっと良かったと思う。最終調整は社長でその前段階まではベテランブレンダーがやっていたというのでもよい。それなら銀行も金を貸しやすい。(それでも渋るとは思うけど)
ところが、この話では問題を解決するのは、もともとは素人の駒田琉生である。たまたまブレンドのセンスがあっただけ。
さらに気になるのが、駒田琉生が他所の蒸留所のブレンダーのテイスティングノートを見せてもらうところ。競争相手にテイスティングノートを見せてもらう以上、こちらのテイスティングノートも見せるというが礼儀というか取引になるはず。こちらも見せるから、そちらも見せて下さいというのは当然の流れだろう。だが、駒田琉生のテイスティングノートは絶対に他人に見せることは出来ないBLテイスティングノートなのである。自分のテイスティングノートを見せられない以上、他人に見せてくれとは言えないだろう。
なんか、経営者と従業員の関係が小藩の殿様と家臣たちみたいなんだよなぁ。身分差があるんだよ。これじゃ潰れるよ。技術と経営を分離して、従業員出身のCTOを置き、社長一家は経営に専念する方がいいんじゃないかなぁ。