おたく男が未練のある気持ちを歌にしたところ、「まったくそのとおりですなぁ」と言ってきた男がいた。その男が会いたいと言っても、都合がつかないとか言ってなかなか会えない女がいるという。その男の詠んだ歌。
逢ふことはたまのをばかりおもほえてつらき心の長く見ゆらむ
なかなか会えない上に、会っている時間は珠と珠の間のようにあっという間に過ぎていくように思えて、会えないことをつらく思う時間ばかり長く続くように感じます。
おたく男は、その歌を聞いても、たまにでも会えるだけいいじゃないかと思ったのである。