ネギ式

適当に生きるおっさんのブログ

エンタメ考察:ふだん凡人のヒーロー

アニメ「陰の実力者になりたくて」の主役シドのやりたいことであり、作品の中で願望実現していることが、ふだんは凡人のヒーローというやつである。それを「陰の実力者」と呼ぶことには抵抗を感じるのだが、そういうタイプのヒーローを恰好良いと思うのはよく分かる。

これは、そういうパターンのエンタメ作品がたくさんあるからであり、また、最近のなろう系俺ツエー作品が不幸にも踏み外しているパターンでもある。

私が最初に思い付いたのは、スーパーマンである。クラーク・ケントはうだつの上がらない新聞記者である。これは、事件が起きると取材を放っておいてスーパーマンとして事件解決に当たっているからという理由もあるが、変装用メガネも冴えない印象を与えるのに役に立っている。

アニメでは、8マンである東八郎がやはりうだつの上がらない探偵をやっている。この例を踏襲していると思うのが、破裏拳ポリマーで、鎧武士は意図的にうだつの上がらない探偵を演じている。スーパーマンや8マンはその特殊な正体を隠すためにふだんは能力を使わないのだが、鎧武士は人間としての基本能力も高く、それは隠さなくてもいいような気もするが、別の理由(親から隠れるため)で人間としても仮名を使って目立たないようにしているようだ。

で、スーパーマンが大元のネタかと思っていたら、以下のページによるとそれ以前に奇傑ゾロ(怪傑ゾロ)があって、そっちが先だという。

filmarks.com快傑ゾロは、名前は聞いたことがあるが、見た記憶はない。しかし、Zの文字を剣で描くオープニング?映像みたいなのは記憶に残っている。アニメにもなっているようだが見ていない。

水戸黄門遠山の金さんもこのパターンだという説もある(ような気もする)が、俺の分類ではこのパターンとは違う。こちらは身体能力を隠しているのではなく、権力者としての身分を隠しているからである。俺としては、「実は権力者だぞ」と明らかにするシーンはあまり好きではない。

私の好きな素浪人月影兵庫も、最初の頃はともかく、弱点設定が出来てからは、旅先でダメ浪人と思われてから、実は剣の達人だったという流れがあったように思う。別に実力を隠しているわけではないが、とても剣の達人とは思えない振る舞いをしている(わざとじゃないけど)。

あんまり見ていない仮面ライダーにも、そういうライダーがいたような気がする。

誰も知らないだろうし、自分でも思い出せないのだが、8マンの桑田次郎が描いた別の漫画で、やはり主人公がぼんくらのものがあったような記憶がある。アタッシュケースから変身するやつだったかな。

パーマンもそうかも知れない。スーパーマンが元ネタだから。wikipediaをみたら「冴えない小学生・須羽ミツ夫」って書いてあるし。

それ以外にもすごくたくさんこのパターンがあったという気がするのだが、もう老化しているので思い出せそうで思い出せない。

タイガーマスクも孤児院を訪問している時は、キザなだけのダメな兄ちゃんだったけど、これはふだんの姿とは言えないので該当しないなぁ。

コブラが冒頭で偽装してたのが冴えない男だった。

DARKER THAN BLACKも冴えない留学生を偽装してた。でもこれは偽装も仕事のうちみたいなものだが。

女性だとあまりないような気がしたが、北島マヤは演劇をしていない時は冴えない少女だった。ヒーローじゃないけど。

スーパーマンでは、ヒロインのロイスがスーパーマンに恋していて、クラーク・ケントはロイスが好きという関係があって、これも変身前はぼんくらという設定だからこそ生きてくる関係だと思うのである。

あ、これは漫画の静かなるドンの恋愛構造だ。ヤクザ嫌いだけど、この漫画はヤクザに否定的なので割と好きだった。

エンタメとして見る場合に重要なのは、設定だけのぼんくらではなくて、ぼんくら演出にどのくらい力を入れているかということが重要である。設定上ふつうの人では面白くない、ちゃんと普通以下のエピソードを毎回入れて欲しいのである。その点、アニメ「陰の実力者になりたくて」の3話はよい出来であった。