俺が求める「異」は考え方の違い、価値観の違いなんだよなぁ。だから異世界は異なる価値観の世界であって欲しい。でも、もう今の異世界は完全に現代的価値観で支配されている。(ゲーム世界だからというのもあるだろう)
もちろん、主人公は現代的価値観で良い。というか、俺としては現代的価値観でなくてもいいのだが、もうコンプライアンス的に無理だろう。でも中世風異世界の住民が「人権」とか言い出すと、俺は興ざめになってしまう。でも、まあ、仕方がないのかも知れない。主人公と住民の間に価値観の違いがあると、主人公が精神的に苦しむことになるから。それは現代の読者・視聴者には耐えられないのだろう。
そうすると、世界全体の価値観が画一的になるので、悪役がすごく分かりやすい悪役になってしまう。たくさんある価値観の中の別の価値観を持った人ではなくて、世界の画一的な価値観に反する人ということになるから。
今読んでいる時代小説でも、なぜか主役級の三人が寺子屋の同期という設定。実に現代的だ。しかも、談合事件であった。まあ、談合も禁止されてはいただろうけど、どうも現代的な話のような気がして仕方がない。もっとも現代的な価値観の話を好むのは編集者や読者の傾向なのかも知れないが。
服装や風景ばかりが時代劇風や中世風でも、俺はあまり情景描写を読まないから。
昔量産されていたつまらない惑星探訪系のSFでも、惑星の住民は野蛮人と設定されていたけど、そこそこ主役側の地球人とは異なる価値観を見せていたような(美化された)記憶があるのだが。SF世界の価値観が近くなった結果として宇宙戦争もの(まあ、それはそれで面白いのだが)が増えた気がする(気のせい。戦争物は昔から多い)。
現代的画一価値観でも金を稼ぐという共通の価値観をもとに、どこまで倫理を踏みにじるかという話は成立すると思うので、エンタメの主人公にはもっと金にこだわって欲しい。
とりあえず、ジャック・ヴァンスでも読むか。