老人ホームから逃げ出した男アランの逃走劇と、その男の過去が交互に描かれる小説。でたらめというか、場当たり的というかかなりいい加減に行動する。
なるようになるという感じだが、若い時から、そして100歳の逃走劇中も、人を殺している。なりゆきであり、悪意はないが、正当防衛とは言えないだろう。現代的なモラルがないということだろう。
アランもアランの出会う相手も酒を飲んで適当に行動している。アランが後悔しているのは、原爆の製造に偶然かかわってしまったことだけ。二度も。そのへんもかなり嘘っぽいのだが、面白い。
なんとなく、カート・ヴォネガットっぽいんだけど、アランが人を殺すことに罪悪感を覚えないところがかなり違う。そういうなりゆきだったから仕方がないというか。