ネギ式

適当に生きるおっさんのブログ

雑記:セルロースとキチン質

食物繊維を取らないと便秘しちゃうからね。

私は専門家ではないし、文献を読んだわけでもないけれど、どうもこういう感じらしい。

セルロースは植物が作り出す素晴らしい化合物だが、食料として植物を見る立場からすると消化困難な厄介者である。

稲作は稲藁を生産する産業であるというくらいには、植物体における非可食部は多い。もっともそれは人間から見た場合であり、セルロースを消化する能力の高い動物もいる。その代表は反芻動物であり、共生細菌と反芻胃でセルロースを効率よく分解する。

地表が有限であることから、植物生産も有限であり、限られた資源を有効に活用するためには、人間もセルロースを分解して利用できたらよい。しかし、人間には反芻胃がない。もっとも反芻動物以外でもセルロースを効率よく利用している動物はいる。

ウサギである。ウサギは胃で反芻する代わりに、糞を食べることによってセルロース分解細菌をうまく利用しているのだ。この方法なら、反芻胃を持たない人間でも利用できる。さあ、みんなでうんこを食べよう

しかし、セルロースを分解できない動物は、セルロース分解細菌の分解物を栄養として摂取しているという点もあるが、セルロースを分解して増殖したセルロース分解細菌を食べていると言ってもよいだろう。

それならば、さらにもう1段ステップを増やして、セルロース分解細菌を食べて育った動物を食べてもいいではないか。って、もうやってるけどな。動物を食べるということは直接には利用できないセルロースを間接的に摂取することによって有限な資源を有効活用しているのである。

さて、キチン質は昆虫の外骨格の主な成分だが、これもまた消化吸収しにくい物質なのである。アリクイなどの昆虫食の動物は腸内のキチン質分解細菌と共生していてキチン質を効率よく利用できるらしい。

人間が昆虫食をしてもキチン質は消化できないので、エネルギー利用効率は高くないのである。

ところで、鯨は反芻動物らしい。ハクジラはその反芻能力やセルロース分解共生菌を生かしていないようだが、ヒゲクジラはある共生菌を利用しているのではないかという説がある。ヒゲクジラの主食であるオキアミなどの海洋節足動物もまたキチン質を持っているからである。このキチン質の分解にクジラの腸内共生菌が役立っているという説がある。

どうもセルロース分解やキチン質分解の過程でメタン生成も盛んに行われるようである。セルロースキチン質を分解する細菌とメタンを生成する細菌は別の種類の細菌だが、セルロース分解からの一連の過程に関与する多数の細菌の中にメタン生成細菌が含まれているようだ。体内細菌の共生環境は結構複雑なのである。

追記:いや、共生とかいうよりも、セルロースキチン質の分解に時間がかかり、その間ずっと嫌気条件なのでメタン生成細菌が活動しやすいからだと気づいた。

私の理解した範囲では、セルロースキチン質の効率的な利用とメタンの生成は一組になっているようだ。

そして地球の生態系も巨大な共生関係と言えるし、人間と家畜の関係も共生関係に他ならない。