クリスティのポアロもの。
作者クリスティの分身とも言われる作中の探偵小説作家の「何か起こりそうな気がする」という依頼によって、殺人の起こる前に現場に入ったポアロ。
であるが、ポアロは殺人を未然に防ぐために指一本動かさない。まあ、ポアロの性格には合っている。
ミステリマニアのようにミステリの事件を分類すると、この事件は結構いろいろな要素があって面白い。しかし、ミステリ小説としては大変不満である。最後の最後に答え合わせみたいに事件の謎を説明するまで、ポアロはほとんど何もしないからである。
もうひとつの不満は、事件発生から解決までの時間が長いこと。検死審問から1週間以上経っているし、その間特に進展もない。
小説として読ませる力はあるので、割とスラスラ読めるんだけど、事件が解決したというすっきり感が足りない。