ネギ式

適当に生きるおっさんのブログ

読書感想:からくり探偵

オムニバス短編集。大正時代を舞台にしたミステリである。全体の話としてはよい。個別の事件は問題あり。

 

 全体として、タメがない。読者への挑戦状は不要にしても、謎解きの前にタメを入れるのは必要なのではないだろうか。それは探偵の行動としてではなく、作者の描写としてのタメである。

それ以外にも一番最初の「人造人間の殺意」はミステリとして問題が多い。なにしろ、この短編集で探偵の百栗柿三郎は初登場なのである。最初の話で犯人の仕掛けるトリックにはその前提として問題がある。もっともこの最初の事件では、そもそもトリックの実行が不可能だと思うので二重に問題だ。