図書館で借りた本である。ノーベル経済学賞発表後にツイッターで言及されていたので。
なんと誤変換が見当たらない。すごい速さで雑な訳文を大量に出す訳者という印象だったのだが。
2019年のノーベル経済学賞受賞者三人のうちの二人の共著の本。実験経済学とでも言うべきか。小規模な実験で途上国の貧困問題を検証していく。じゃあ、実験経済学でない経済学は何か。「俺たちは雰囲気で経済学をやっている」という感じですな。それっぽい数学モデルは作るけど、モデルの妥当性は検証されないので。
- 作者: アビジット・V・バナジー,エステル・デュフロ,山形浩生
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2012/04/03
- メディア: 単行本
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概ね納得できる妥当な話である。
ただ、貧困の根絶という点については、もっと大きな困難があると思う。相対的な貧困ではなく、絶対的な貧困であっても根絶は難しいだろう。貧困率が低くなっていくと貧困の経済モデル自体が変わると思うのである。
(絶対的)貧困の根絶に百年以上かかるという著者の考えはたぶん正しいだろう。それどころか、逆に(元)先進国の中で深刻な絶対的貧困が広がっても不思議ではないと私は思っている。