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読書感想:「このミステリーがすごい!」大賞作家書き下ろしブックvol9

図書館で借りた本。最近どんなミステリが流行っているのかと思って借りたのだが、どうもピンと来なかった。日常の謎系が二作と、警察物が三作、そしてなんだかわからないのが一作。なんだかわからないのは、連載中の一部で探偵役はいるけど、なんだか訳のわからない行動をしているだけであった。

『このミステリーがすごい!』大賞作家 書き下ろしBOOK vol.9

『このミステリーがすごい!』大賞作家 書き下ろしBOOK vol.9

 

 海堂尊の「修行のタイムリミット」はさすがの出来。この作品ともう一作だけが一段組で他の作品は二段組という謎のレイアウトなのだが、まあ看板作ということなのだろう。昔の謎を解くというやつだが、まあ敢えて難点を言えば、昔の捜査が不足というか、昔の刑事が気付いても当然だったはずだが、圧力で止められたのだろう。その点は納得できる。

しかし、警察物が多いんだなぁ。まあ私立探偵にはリアリティがないからなぁ。でも警察物ならもっとリアリティを追求して、自白で終わらせるのではなく、証拠を固めて起訴という形にして欲しい。自白は捜査権のない私立探偵物だからこその結末であろう。

特に最後の作品は、警察の仕事は自白を引き出すことみたいに言ってしまっていて、本当に困るところである。

そうだ、新しい趣向として、容疑者の自白で物語が始まり、警官がその自白を覆すという構成はどうだろう。社会正義ものとしていいんじゃないだろうか。もちろん、警官である主人公は同僚からそんなことは止めろと言われ、上司からも捜査を禁止される中で頑張るのだ。