ネタバレあるかも。
私、なにを隠そうギャルゲーというものをやったことがない。清く正しく生きてきた訳ではなくて、エロゲーはプレイしているのだが。ただし、18禁でもギャルゲーっぽいエロゲーはプレイしている、東鳩とか。恋愛関係になったあと最後まで行くかどうかしか違わないと俺は思ってるけどね。
で、「冴えない彼女の育て方」だが、これはギャルゲー作成をギャルゲーでやるアニメなのである。ギャルゲーでやるというのはどういうことか? その前になぜ俺がギャルゲーをやろうとしないのかという話をしたい。簡単に言うと面倒だから。フラグ立てが面倒すぎる。死亡フラグじゃないよ。東鳩とか友情エンド2回連続で出したよ。そしてあきらめて攻略サイトを見たのだ。ここで友情エンドとはどの女の子とも仲良くなれず男の友情で終わるエンディングである。ヤオイエンドではない。
いや、今や傑作と言われるギャルゲーが多いのは知っているし、「冴えない彼女の育て方」の作中にも泣けるギャルゲーが挙げられているのだけれど、「冴えない彼女の育て方」という作品自体がギャルゲーの面倒臭さを表しているんだよね。少なくとも俺にとっては。
「ギャルゲー作成をギャルゲーでやる」とは、ゲーム作成に必要な人材がすべて女の子であり、女の子を攻略することによって人材を揃えてゲームを作るということである。ゲーム作成上のトラブルとは必要な人材である女の子が機嫌を損ねてゲームを作ってくれないので、なんとか機嫌を取ってゲームを作ってもらうということなのである。ガーン、こんなに簡単にゲーム作成をギャルゲーにすることが出来るとは思わなかったよ。
なんだかよく分からないけどいきなり不機嫌になった女の子の機嫌をとるためにいろいろやるとか面倒すぎるでしょ。考えただけでもうんざりするわい。いっそ、三次元の女の方がマシなくらいだ。
まあ、この作品の場合はあまり機嫌を取らないのに、勝手に情熱に打たれたりするんだけど。ストーリーの中では、ゲームを作るという話はまったく重要ではなくて、女の子と仲良くなるというか仲良くし続けるということが重要なのである。主人公はゲームを作るという情熱を持っているけど、ゲームを作るためにすることは女の子を攻略するだけだから。
本来、ゲーム作成にはいろいろ楽しいトラブルがあるはずなのだが、それは洒落にならないとか、つらすぎるとかいう理由でだろうか、ほとんどまったく出てこないのである。「時間がない」というのは確かに問題なのだが、その解決は女の子たちが本業?の時間を削ってゲーム作成の時間を作るという対応なのである。やれやれ。
さて「冴えない彼女」である加藤恵のことを書こう。加藤恵は素晴らしい。このギャルゲーにはギャルゲーのテンプレヒロインが登場するわけだが、加藤恵だけテンプレヒロインではないのである。もちろん攻略対象キャラだ。実際はゲームじゃないから攻略できないけどゲームなら攻略対象キャラなのは間違いない。その結果として、他のテンプレヒロインが全員、加藤恵の引き立て役になってしまっている。
テンプレアニメって思考停止して見ている訳ですよ。娯楽作品だから理屈を考えずに見てもいいじゃないですか。そこにテンプレじゃないヒロインが入っていくると、思考停止が解除されてしまう訳です。そうなるとテンプレヒロインの異常性が目立つんだよね。まあ、テンプレもあまりに多いので最近では、セルフツッコミが入ることもあるのだが、加藤恵の場合、普通の人としてのセリフがテンプレ作品に対するツッコミになっているわけだ。そこがすごくよい。作品の90%をそういうシーンで作って欲しかった。
売れっ子ラノベ作家とか、人気の同人漫画家とかに対して特殊技能を持たない加藤恵は普通の人ということになっているのだが、じゃあ普通の人がギャルゲー制作にどう関わってくるのかというとその役割はメインヒロインなのである。全然普通じゃないよ。声優っていう意味じゃないからね。メインヒロインのモデルってそれは制作側の人間じゃないよ。
まあそういう訳で、俺にとっては加藤恵だけを愛でるアニメであった。加藤恵のいいセリフだけを編集したのを見たいよ。
さて、ギャルゲーに限らずゲーム作成をエンタメにしようとしたら、もちろん数々のトラブルをどう解決するかという話になるだろう。そうSHIROBAKOのように。しかし、SHIROBAKOでもやっていない、あらゆる仕事に関係する最大のトラブルがある。
それは金である。ゲーム作成ならやはり金がないところから始めなければ面白くならないし、金がないなら面白くなる。原画家はろくな絵が描けない、脚本家のシナリオはどこかで見たようなストーリー、音楽は金がないからフリー素材で。そしてゲームを作っても宣伝費がない。こういうトラブルを解決していけば、いやでも面白くなるのに。
まあ、アニメや大手出版社でカネ絡みの話をやると差し障りがあるだろうから、是非ウェブ小説でお願いします。