ネギ式

適当に生きるおっさんのブログ

読書感想:悪夢はダブルでやってくる

主人公は「あなた」の実験小説。(ただし、あなたは男)

悪夢はダブルでやってくる

悪夢はダブルでやってくる

 

 とは言え、実験小説としては十分に読みやすい。どうも、浅暮三文という小説家は実験小説と娯楽小説の融合を狙っている節がある。どんな小説であれ、娯楽性と読みやすさは重要なのだ。

しかし、読書家というのはひねくれもので中には読みにくい小説を好んで読む変わり者もいる。そういう変わり者が読みにくさを期待して、あるいは実験の先鋭性を期待してこの本を読んだとすれば、落胆するであろう。

週刊誌連載で実験小説で娯楽性が高いという難しい点を十分にクリアしている本作ではあるが、その分、尖っていないとも言える。区切り区切りにあるイラストは実験というよりも作者のユーモア。まあ、二人称小説という点とも関連してはいる。