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ネギ式

適当に生きるおっさんのブログ

ホラー小説の試み

小説

廃神社というのだろうか、神主の居なくなった神社を見に行こうと奴が言い出したのだ。ブログのネタになるというので同行することになった。

鳥居の辺りから明らかに雰囲気が違った。神々しくもまた禍々しい。これまで霊感など感じたことはなかったのに、はっきりと感じられる異常な気配。日本の神社の雰囲気ではない。空いた神社に他所の神が入ってきたのではないだろうか。神か、それとも悪魔か、いやもっと別の存在かも知れない。

「なんてことあらへん」

奴はそう言って山道をどんどん進んでいくが、信じ難いことだ。この気配がわからないのだろうか。

怖ろしい、怖ろしい。何が怖ろしいのか分からないがとにかく怖ろしい。すぐにでも逃げ出したいが、一人になるのも怖ろしい。何かがすぐそこに居るのだ。

「つまらん、なんにもあらへん」

奴はそう言いながら、途中で拾った木の枝を振り回している。そして道の端に小さな土の置物を見つけると、ゴルフのスイングでそれを打って飛ばした。

まずい、それはまずい。うわー、周りの雰囲気がいきなり険悪になった。敵意が満ちている。これまでは得体の知れない恐ろしさだったが、いまでははっきり敵意を感じる。まずい、まずいよ。

「なんにもあらへん」

奴はそういって山道を登りながら、所々に配置されているたぶん神聖な何かを無造作に破壊していく。駄目だこいつ……早くなんとかしないと……。

「あったで……、なんや木刀やで、つまらん」

山の中腹の祠を勝手に開けて、奴は中から木剣を取り出した。

それ、それ、それだ。うわー、途轍もない邪気が溢れている。俺の全身全霊が危険を告げている。そんな怖ろしい物をなぜ平気で持てるんだ。

「なんや、その目は。欲しいんならやるで」

奴はそう言って木剣を投げてよこした。なんてことするんだ。一瞬避けようとしてから、落としては失礼だと気づき、なんとか木剣を受け止めた。そして決意した。

殺るしかない。

そう決意すると、今まで心を満たしていた恐怖が勇気に変わった。祠の中を手さぐりしている奴の後ろから木剣で一突き。木剣は布地や肉を溶かすような気持ちの悪い手応えで奴の体にめり込んでいく。

奴が死ぬと辺りに満ちていた禍々しい気配がすっと消え去った。小鳥の声が聞こえる。俺は一体何をしたんだ?